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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-151

スギ人工林におけるミミズによる土壌団粒形成量の推定

*橋本みのり(横浜国大・環境情報), 高橋正通(森林総研),長谷川元洋(森林総研・木曽),池田紘士(森林総研),山下多聞(島根大・生物資源),金子信博(横浜国大・環境情報)


土壌動物、特にミミズは土壌や有機物を摂食し、糞として排泄することで土壌団粒の京成を促進する。土壌団粒は窒素やリンなどの物質循環を変化させ、炭素貯留を促進している。陸上の植生遷移の過程で、土壌動物も種組成が変化するため、土壌動物による団粒形成量も変化していく可能性がある。そこで、スギ人工林の林齢に伴うミミズ種組成の違い、各林齢の森林土壌における土壌団粒量の測定を行うとともに、飼育実験によってミミズによる糞団粒形成量を測定し、野外における団粒形成へのミミズの寄与率の推定を行った。調査地は茨城県常陸太田市スギ人工林の若・中・老齢各3林分(計9林分)で、ミミズ掘り取り調査(50?×50?×深さ10? 10地点)を行い、種同定と土壌団粒量の測定を行った。また飼育容器に2?および1?に篩ったF層土壌と現地で採集したミミズを投入し1週間飼育し、飼育後の土壌を篩い、糞団粒を採取し、重量を測定した。

若・中齢林ではミミズは局所的に分布しているのに対し老齢林では全体に広く分布し種数が多かった。また若・中齢林では体サイズの小さいツリミミズ科の個体が多いが、老齢林では体サイズが大きいフトミミズ科が優占し、これらのミミズが摂食・排泄活動によって形成する糞団粒の量にも差が生じると考えた。飼育実験においても、老齢林のミミズが形成する糞団粒量がミミズ1gあたり若・中齢林では約1.5g/dayに対して、老齢林では約2.8g/dayと高く、これによって形成される土壌団粒量が多くなることが示唆された。林齢の高いスギ林では、ミミズによる団粒形成量が多くなり、炭素貯留の促進と物質循環が変化すると言える。


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