ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-155
*馬谷原武之,笹田勝寛,宮地俊作,河野英一(日本大院・生物資源科学)
地域を構成する環境要因には森林、農地、都市近郊部、都市部など土地利用形態や人間活動によるさまざまな人為的要因が含まれており、それらのおよぼす影響範囲やそれらをモニタリングするための新たな知見が求められている。生物の同位体比は一定期間の食物等、体内に取り入れられた物の同位体比を反映するため、その移動範囲、生息時期という生物の生態特性と生物が内包している各同位体比の情報はリンクし、一定期間、一定面積の環境状況を反映しているといえる。
これまでに演者らは陸域において、水路等により分断された谷戸地形をモデルとし、地表性昆虫等の生物、植物、土壌等の炭素、窒素同位体比と隣接畜産施設等人為的影響をおよぼす施設との関係性や、都市近郊部遊水地陸域の生態環境把握、地域において過去に行われたセミ抜け殻調査標本の活用による森林、宅地、農地等の窒素同位体比の差異等の検討を行ってきた。また、水域においては用水路の淡水二枚貝、底質、浮遊物の炭素、窒素同位体比変化と用水管理の関係性について検討してきた。
今回の発表ではこれらを踏まえ、地域環境に及ぼす人為的影響モニタリングへの生物安定同位体比による新たな指標や評価法の確立等、今後の展開についての議論を行いたい。