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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-172

共通の寄主植物を利用する際の、2種のチョウの産卵株選好性の違い

*加藤木愛(東北大・農),昆野安彦(東北大・農)


クロアゲハとカラスアゲハの2種の黒色系アゲハチョウは、青葉山(仙台市,標高202m)において同時期に同所的に存在し、共通の寄主植物であるカラスザンショウに産卵する。同じ寄主植物を利用するにあたり、2種のチョウはどのように関わり合っているのだろうか?産卵する株をめぐって競争しているのか?それとも、互いに利用する株の選好性が異なり、うまく棲み分けているのか?はたまた、産卵株選択には互いの存在は関係ないのだろうか?また、産卵株選択においてなんらかの選好性がある場合、そこにはどのような生態的意義があるのだろうか?これらの疑問を明らかにするため、2009年5月〜11月に青葉山のカラスザンショウ群生地にて調査を行った。

まず産卵株選好性の有無を知るため、カラスザンショウ全個体の環境条件(樹高、開空度、日照度、林床植生高など)と、そのなかでどの個体を選択して産卵したかを記録した。さらに、親の選択した株の環境が、子の生存に有利であるかどうかを知るため、各株の卵と幼虫の生死を記録し、生存時間を求めた。また、クロアゲハとカラスアゲハの夏型の成虫発生時期(の違い)を推定するため、飼育実験により各種の発育零点と有効積算温度を求めた。

これらの結果から、2種の産卵選好性や産卵時期の違いによる競争回避の可能性、また、それらの違いが生じる要因などについて考察する。


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