ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-179
*橋本 友里恵(宇都宮大・農・院),堀江 玲子(宇都宮大・農),小金澤 正昭(宇都宮大・農・演習林)
イノシシやシカ等の野生動物は地域によっては分布を拡大しており、それとともに野生動物による農業被害も増加している。これらの野生動物の空間分布を把握することができれば、行政の限られた予算の中でも、有効な被害対策が期待できる。野生動物の空間分布を直接調べることは困難であるが、近年ではリモ-トセンシング技術や地理情報システムと統計モデルを用いて、一部の生息情報と環境要因から間接的にその野生動物の空間分布を推定・予測する生息適地モデルが急速に発展している。また取得が難しい不在デ-タを用いず在デ-タのみを用いる生息適地モデルも開発されており、比較的情報を集めやすい狩猟や駆除などの捕獲デ-タのような在デ-タと環境省や国土地理院が公表している環境情報から解析を行なうことも可能になっている。このような解析を行なうためには、野生動物の捕獲デ-タと環境デ-タがすぐに利用できるようなデ-タベ-スを作成することが重要である。そこで近年、イノシシの農業被害が深刻化する栃木県において一辺が約2.5kmのメッシュごとに集計されたイノシシ捕獲デ-タ(1998年度から2008年度)と環境デ-タ(自然環境基礎調査第2-5回の結果、標高は国土地理院のデ-タ、気象庁の積雪のデ-タ、農林水産省の農林センサスデ-タ)からArcView9.1.3を用いてイノシシのデ-タベ-スを作成した。作成したデ-タベ-スから、イノシシが捕獲されたメッシュは1998年から2008年の間に10倍以上に拡大したことが明らかになった。発表では作成したデ-タベ-スから解析したイノシシが分布を拡大した地域の特徴について報告すると共に、今回作成したメッシュデ-タのデ-タベ-ス作成方法や注意点について詳しく説明する予定である。