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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-256

東京都町田市の人工池におけるヌカエビ個体群の繁殖時期の年変化

佐々木岳,永田岳郎,春山宏樹,吉川朋子(玉川大・農)


流入流出河川のない最深部116cmの人口池におけるヌカエビ(Paratya compressa improvisa)個体群について、2008年から2010年の3?11月に定期的に採集を行い繁殖と成長について調べたところ、寿命は約1年で、隔年で当年群が抱卵している繁殖形態が明らかになった。

2008年の3月は、前年群の雌雄ともに平均体長が20mm以上に達しており、ほぼ成長せずに雌は4?7月に抱卵した。当年生まれの稚エビは5月から現れ、成長した当年群の一部は8月には18mmに達し、8?9月に雌の抱卵が見られた。2009年3月は平均体長が2008年より4mmほど小さく、前年群は4月の間成長した後に5?6月に抱卵したが、5月に稚エビとして現れた当年群は抱卵しなかった。2010年は2008年と同様、3月の平均体長が大きく、前年群は4-7月、当年群の一部は8-9月に抱卵した。

当年群の繁殖は、当年中に繁殖可能な体長まで成長できるかどうかにかかっていると考えられる。2008年や2010年のように、前年群が4月までに十分成長しており、すぐに繁殖を開始する場合は可能であるが、その場合当年繁殖個体は成長が滞るか死亡し、翌年に繁殖するのは繁殖期後期に生まれた個体が主になると考えられる。本調査地では11月?3月は体長の変化が見られないが、後期に生まれた個体は11月までに十分成長できず、翌年の繁殖開始は遅くなり、その年の当年群は成長期間が短いために繁殖に参加しないと考えられる。調査期間中の年による気温に大きな違いはなく、当年群繁殖の年による違いは個体群の繁殖サイクルである可能性が高いと考えられた。


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