ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-312
*山浦悠一(北大・農), J. Andrew Royle(アメリカ地質調査所), 島田直明(岩手県大・総合政策), 浅沼晟吾(東北環境研), 佐藤保(森林総研・植生), 滝久智, 牧野俊一(森林総研・昆虫)
近年、草地とそこに依存した生物(以降、遷移初期種)の減少に注目が集まっている。遷移初期種の減少の緩和策を検討するために、岩手県北上山地において、人為由来の草地4タイプ(放牧地、伝統的な採草地、カラマツ新植地、カラマツ伐採跡地)と森林2タイプ(カラマツ人工林、老齢天然林)で、鳥、ハナバチ、植物の調査をした。各タイプで5ヶ所、合計30ヶ所の調査地を設けた。
鳥の種数は、老齢天然林、カラマツ人工林の順で高く、草地では低かった。遷移段階の中期以降に主として出現する種(成熟林種)の種数も同様の傾向を示した。しかし、遷移初期種の種数は草地で高く、森林では低かった。
草地環境に主として生息するハナバチの種数は、草地では高く、森林では低かった。
植物の種数は、新植地、伐採跡地、採草地の順で高い値を示した。遷移初期種の種数は採草地で最も高く、新植地と伐採跡地がそれに続いた。成熟林種の種数は新植地と伐採跡地で高く、外来種の種数は放牧地で高かった。
3つの分類群を通して、遷移初期種の種数は新植地で高く保たれていた。林業活動によって造成される新植地は、遷移初期種の一定の保全機能があると考えられる。