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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-314

樹林面積の減少によりエゾモモンガの行動圏は変化するか?

*浅利裕伸((株)長大),山口裕司((株)FRSコ-ポレ-ション),柳川 久(帯畜大)


近年の道路建設や農地拡大は森林の分断化のほか,森林面積の減少をもたらすため,生息種への影響が懸念される.特に,完全な樹上性であるエゾモモンガにとっては森林環境の変化による影響が大きいと考えられる.そのため,北海道帯広市の樹林地において,森林面積の減少に対するエゾモモンガの行動圏変化について調査を行なった.樹林面積減少前(1991年-1992年,面積4.5ha)と樹林面積減少後(2005年-2007年,3.1ha)において,計15個体に発信機を装着し,夜間の追跡を行なった.

樹林面積減少前の行動圏(±SD)は,雄が5.1ha(±1.4ha),雌が2.1ha(±1.1ha)であり,樹林面積減少後では雄が2.1ha(±0.2ha),雌が1.7ha(±0.4ha)であった.雌雄ともに樹林面積減少にともなって行動圏が小さくなったが,雄の行動圏が雌より大きい傾向に違いはみられなかった.また,樹林面積減少前の雌間の行動圏は重複しなかったが,面積減少後の行動圏は重複した.しかし,面積減少後の雌間のコアエリアについては重複がみられなかったことから,雌は樹林面積の減少によって集中利用域を変化させ,避けあいなわばりを維持していると考えられる.そのため,樹林もしくは利用資源の減少は,エゾモモンガの利用場所を制限し,行動圏を変化させていることが明らかになった.


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