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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P2-336

多摩川堤防通路利用者のカワラノギク保全活動に対する意識

*倉本宣,明治大学農学部,芦澤和也,明治大学大学院農学研究科,岡田久子,明治大学農学部


礫河原固有の絶滅危惧植物カワラノギクの保全活動(多摩川カワラノギクプロジェクト)に演者らは2002年の開始時から参画しているものの参加者が増加しないことから、河川敷利用者の意識調査を行った。カワラノギクの大規模復元地(永田地区A工区および派生したC、D工区)の対岸の通路利用者のカワラノギクの保全に対する意識を2010年10月に聞き取り調査した。調査対象者は160名で、男性が63%、女性が37%であった。利用頻度は、ほぼ毎日が20%、週1回以上が70%、それ未満が10%であった。

カワラノギクに対する認識は、「見たことがある」が23%、「名前を知っている」が12%で、「聞いたこともない」が65%であった。保全に対する意識は、「生育し続けてほしい」が82%、「絶滅しても構わない」が12%であった。保全対策における負担については、「自分も何かしてもよい」が34%、「税金を使ってもよい」が47%、「負担があるのは困る」が14%であった。

保全意識については、聞き取りという形式を考慮すると、「絶滅しても構わない」とする利用者が12%存在したことは潜在的にはさらに多くの同じ意見の利用者が存在する可能性があり、絶滅の深刻さが理解されていないことを示している。負担については、税金を使って解決してもよいと考える利用者が多く、現実の国土交通省の施策も対応している。「自分も何かしてもよい」が34%存在することは、この人たちが実際に保全活動に参加すれば、カワラノギクプロジェクトの参加者不足もほぼ解消するものと考えられる。

そのためには、地域のカワラノギクの対する認識を改善し、自分も活動に参加したいと思う市民を増やすための戦略が必要である。本発表では、そのために検討している戦術を紹介したい。


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