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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-062

野外に植栽された遺伝子組換えポプラの成長と生理特性

舟橋史晃*(京大農),太田誠一(京大農),谷口亨(森林総研),林隆久(東京農大)


成長を促進させるよう酵素キシログルカナ-ゼを過剰に発現する遺伝子組換えポプラ(trg300-1, trg300-2)が林木育種センタ-隔離圃場において2007年4月から4年間にわたり非組換えポプラ(wt)と共に2m間隔で各系統50本ずつ野外植栽されたが、組換え体の成長は非組換え体に比べ成長が良くなかった。この成長不良の原因を明らかにするために本研究では毎年成長期の6月から8月はじめに葉の養分分析(C・N・P・K・Ca・Mg・Na)を行った。またLi-cor 6400を使用して野外日中及び暗所に約5時間置いて夜間を再現した時の光合成速度及び気孔コンダクタンスを2009年8月に測定した。

葉養分含量は植物体バイオマス増加率と相関は見られず、組換え体の成長不良は養分によるものではないと示唆された。一方で組換え体の光合成速度(1500μmol photon, 370ppm CO2, 25℃, 60% humidity)は有意に低く(trg300-1: 20.9, trg300-2: 20.2, wt: 22.3 μmol CO2 m-2 s-1)、また夜間の気孔コンダクタンス(0μmol photon, 370ppm CO2, 25℃, 80% humidity)が有意に高いことから(trg300-1: 0.23, trg300-2: 0.07, wt: 0.02 mol H20 m-2 s-1)、組換え体の光合成が劣り、また夜間の蒸散による水の損失が大きいことが示唆された。組換え体は葉の気孔が閉じにくく(Park et al, Unpublished)、また根、特に根毛の成長が阻害されていたことから(Kaida et al, Unpublished)、水利用効率の悪さによって水ストレスを受けたことが成長不良の原因であると考えられる。


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