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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-064

マダケ属2種の地上稈における貯蔵養分の変動の比較

*遠山千景,中川弥智子(名大院生命農)


里山を中心とする急激な竹林の拡大は、里山の生物多様性だけでなく、生物間相互作用や生態系機能に重大な影響を及ぼしかねない問題である。タケ類はタケノコによるクロ-ン成長を活発に行うため、竹林拡大の解明には地下茎を介した資源配分に関する理解が重要であると考えられるが、大型タケ類に関する生理生態学的知見は未だ乏しいのが現状である。竹林の拡大には拡大源となるタケノコを生産する為に、グルコ-スなどの遊離糖やデンプンといった光合成産物が必要であり、その竹稈内での含有率は、冬から春先にかけて多く、出筍の際に大幅に減少しその後徐々に回復する動態を示すことが、節を除く稈、地下茎、枝葉を用いた研究で明らかにされている。しかし、3-5年生の個体を対象としたものが多く、タケノコ-1-2年生の個体における光合成産物動態は明らかにされていない。また、空中写真を用いた解析や実地観測により竹林の拡大速度が算出されているが、種内での差が大きく、種による違いは未解明のままであるが、光合成産物動態の解明が拡大速度の決定要因を考察する基礎的知見を提供する可能性がある。そこで本研究では、マダケとハチクの当年生個体を材料として、地上稈に含まれる光合成生産物のうちグルコ-スに着目して、その季節変動の違いを種間で比較した。分析試料とするタケは、毎月10本ずつ採集し、その根元、地上から1m、4m及び8mの部位の節間部を切り出し、65度で48時間乾燥させた後分析に供した。分析には80%の熱エタノ-ル抽出方法を用い、抽出液からグルコ-ス濃度を測定した。以上より、グルコ-ス濃度の部位別季節変動とその種間比較を通して、拡大速度の速いタケ類の資源配分について考察する。


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