ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-065
長田賢志(筑波大学 生命環境)*, 山路恵子(筑波大学 生命環境),野村暢彦(筑波大学 生命環境)
既存の研究において、日立鉱山の沼に優占的に生息しているドクゼリはその根部に高濃度のZnを蓄積しているにも拘らず、生育していることが確認された。そして、ドクゼリの根圏に生息する根圏細菌であるPseudomonas putida によって土壌中の可溶性Znの増加が確認された。本研究ではこれらの根圏細菌のドクゼリ成長への影響の評価とドクゼリのZnの吸収促進に関与するP. putidaの産生物を単離及び同定することで、ドクゼリにおけるZn吸収メカニズムの解明を目的とする。
接種試験は滅菌したアグリポッドに滅菌実生、滅菌した日立鉱山沼土壌、及び滅菌水を入れ、各菌株培養液107 /mlを接種し40日間培養した後、実生の成長と含有重金属量を測定した。産生物の単離は、P. putidaをRSM培地で48時間、暗黒下で振とう培養し、遠心分離した上清を酢酸エチルで抽出を行い、水層と酢酸エチル層とに分画して行った。水層はアンバ-ライトXAD-4を用いて固相抽出を行い、吸着画分と通過画分に分画した。アンバ-ライト XAD-4の通過画分は陰イオン交換樹脂であるアンバ-ライトIRA400Jによって、吸着画分と通過画分に分画した。得られた各画分は減圧下で乾固させ脱塩水で溶解し、各画分が土壌中の不溶態Znを可溶化させるかを可溶化試験によって検証した。
接種試験によりP. putidaの接種によりドクゼリのZn吸収促進と成長促進が確認され、可溶化試験によりアンバ-ライト IRA400Jの吸着画分にZnの可溶化物質は存在していることが確認されたことから、カルボキシル基を有する高極性物質がZnと錯体構造を形成し、土壌中の不溶態Znを可溶化する可能性が示唆された。