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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-070

生育環境の異なるシダ植物の光合成機能と乾燥ストレスへの反応

*西田圭佑,半場祐子 京都工芸繊維大学


シダ植物の多くは低照度、高湿度な林床に生育するが、着生シダのように常に乾燥した環境に生育するものも存在し、生育環境が多様であることが知られている。また、シダ植物は群落を形成し炭素循環への寄与は大きいと考えられるが、その光合成機能に関する研究は非常に少ない。本研究では、生育環境の異なる4種類のシダ植物胞子体に乾燥ストレスを与え光合成能力を比較した。これらの種の胞子体は著しく異なった形態を有し、生育地に適した光合成機能や乾燥に対する反応を示すと考えられる。

実験は地上生のベニシダ(Dryopteris erythrosora)、クジャクシダ(Adiantum pedatum)、ワラビ(Pteridium aquilinum)、着生のノキシノブ(Lepisorus thunbergianus)をポットで栽培し、相対土壌水分率50%以下の乾燥ストレスを与えた。ガス交換測定の結果、光合成速度と気孔コンダクタンスの相関関係は4種類でほぼ一致し、気孔密度の高いワラビが最も高い光合成速度を示した。着生シダのノキシノブは乾燥地への適応のために他の種に比べて高い水利用効率を示すことが予想されたが、安定同位体比による水利用効率の推定では、ベニシダが最も高い値を示し、着生シダのノキシノブは他の3種と差が無かった。同様にガス交換による水利用効率の測定でもベニシダは高い値を示した。ベニシダが高い水利用効率を示した理由は気孔密度が最も少ないことで説明できる。地上生シダでは葉重量/気孔数の比はガス交換による水利用効率と正の相関を示す傾向があった。一方で着生シダのノキシノブでは葉重量/気孔の比が高いにも関わらず、水利用効率は地上生のシダと変わらなかった。これらの結果からシダ植物胞子体の生育環境と光合成能力の関係について葉の構造に着目し考察した。


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