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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-077

安定同位体比を用いたエジプトのマングロ-ブ(Avicennia marina)の枝の伸長形態と葉の生理特性の関係

萬城遼*三重大学生物資源学部, 松尾奈緒子 三重大学大学院生物資源学部,寺南智弘 和歌山大学大学院システム工学部,中島敦司 和歌山大学大学院システム工学部, 吉川賢 岡山大学大学院環境学研究科


エジプトの紅海沿岸域は高温且つ降水量に乏しい環境下のため、海水の塩分濃度が他の海域に比べて高くなる。こうした地域に生育するマングロ-ブ(Avicennia marina)は地際近くからいくつかの枝を水平方向に伸ばし、樹高の低い形状をしている。また、不定根を伸ばし、伏条更新する枝も存在する。このような樹形がエジプトの高温・少雨・高塩分環境における生存戦略であるならば、枝の形状によって枝についている葉の蒸散・光合成特性に違いがあると考えられる。そこで本研究では、エジプト紅海沿岸・ハマタ地区に自生するAvicennia marinaの枝の先端についている葉の有機物の炭素安定同位体比(δ13C)および酸素安定同位体比(δ18O)、枝の中の水のδ18Oを測定し、長期平均的な水利用効率と蒸散量を推定した。それらと枝のつけ根から葉までの枝の長さ、不定根がある場合は不定根から葉までの枝の長さ、地表面から枝の先端までの高さとの関係を明らかにする。

その結果、枝の先端の葉のδ13Cは枝の長さと正の相関があった。さらに不定根が存在する枝の場合、枝の先端の葉のδ13Cは枝のつけ根からの葉までの長さよりも不定根から葉までの枝の長さの方がより高い相関を示した。これらのことは、葉の水利用効率は吸水経路長が長いほど高くなることを示唆している。葉の有機物のδ18Oは高い位置の葉ほど低くなる傾向が見られた。これは樹冠内の湿度・温度の鉛直勾配の影響である可能性がある。枝の中の水のδ18Oが測定され次第、長期平均的な蒸散量を推定し、枝の形状との関係を明らかにしていきたい。


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