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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-081

緯度・標高の異なる自生地のイタドリを用いた光合成温度応答メカニズムの比較

*町野諭,永野聡一郎,彦坂幸毅(東北大・院・生命科学)


光合成速度の温度応答曲線の形は自生地の温度環境によって種間・種内ともに異なることが知られており、一般に低温に自生するエコタイプは低温に適した光合成能力を持っている。しかし、光合成温度応答の違いにおける生理的メカニズムについては必ずしも明らかになっていない。光合成生化学モデル(Farquhar et al. 1980)によれば、光合成温度応答の形に影響する生理的要因は(1)葉内CO2拡散、(2)RuBP炭酸同化反応の温度依存性、(3)RuBP再生反応の温度依存性、(4)RuBP炭酸同化反応とRuBP再生反応のバランスの4つが考えられる。このうち(1)においては、高標高自生エコタイプは低標高自生エコタイプと比べて葉緑体内CO2濃度が低いことが報告されている(Kogami et al. 2001)。これは光合成温度応答の違いに影響を与える可能性がある。一方で、もしこの形質が高標高への適応の結果であるとしたら、同じ低温環境自生型であっても高標高自生エコタイプと高緯度自生エコタイプでは光合成温度応答が異なるかもしれない。本研究では緯度・標高の異なる3地点(弘前(高緯度低標高)、富士山(低緯度高標高)、東京(低緯度低標高))に自生するイタドリ(Polygonum cuspidatum)を用いて光合成温度応答の違いとその要因について緯度間・標高間で比較した。同じ生育温度で生育し、光合成温度応答曲線を比較したところ、東京に比べて弘前や富士山は最大光合成速度時の温度が低いなど低温に適した光合成能力を持っていた。今回は4つの生理的要因のうちエコタイプ間で異なる要因を検討し、どの要因の違いが光合成温度応答曲線に影響を与えて緯度間・標高間の光合成能力の違いをもたらしているのかを光合成生化学モデルを用いて解析した結果を紹介する。


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