ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-093
*築山省吾,浜端悦冶(滋賀県立大学)
1960年代の燃料革命を契機に利用の衰退が著しい現在の里山林において、その再生の方法または管理の仕方を議論するため、過去どのような形で行われていたのかを理解する。そのことは現在の里山林管理の方向性を議論する上で必要であり、また今の生活様式に見合った新しい里山の形を考える上でも過去の知識を踏まえるのは重要である。
本稿では滋賀県湖東地区の集落を調査地とし地域レベルでの里山管理が過去どのようなものであったのか、またその利用形態の特徴とその地形的要因との関係を明らかにすることを目的とする。特に過去盛んに行われていたこの集落における里山林を利用した木炭生産に着目し論を進めていく。
滋賀県東近江市永源寺町(旧東小椋村)を対象地とし、GPSによる窯跡の分布の把握、GISを使いその集落における地理的要因と窯跡分布との関係、さらにそのGISで示されている指標の精度を向上させるためのヒアリング調査を実施した。またさらに明治以降から現在までの植生について、特に広葉樹林帯、針葉樹林帯、荒地に焦点を置き、それと木炭生産量との関係についてみるため、環境省が作ったGIS植生デ-タと明治期に作られた正式図をGIS化して検討した。
GPSで記録した座標デ-タ用い、GIS上でその窯跡の位置の標高および傾斜角度をそれぞれ求めた。またヒアリング調査の結果を踏まえ各窯のサイズからの木炭の収穫量、またその窯一つに要する里山林の面積を検討した。同時にそのデ-タを用いて窯を作る際の最適な土地条件を満たす位置の検討をGIS上の演算で求めた。
この結果から現在の永源寺地域の里山林において木炭生産がどの程度収穫できるのかを求めた。これらは今後のこの地域の里山利用・管理を議論する際、その方向性を考える上で一つの要素として位置づけられる。