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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-095

ラオス村落住民における植物利用の知恵とそれに基づくチ-ク植林の資源ポテンシャル評価

*矢ヶ崎朋樹(IGES-国際生態学セ), 百村帝彦(IGES), ラタナボンゴ ブンチャン(ルアンプラバン県農林事務所)


目的・方法:ラオス北部のチ-ク植林に係る資源利用特性を評価するため、村落住民の参加を得て植生調査及び聞き取り調査を実施した。調査対象は、ルアンプラバン県シェングン郡の2村落(ポンサバン村、タッカチャン村)で、調査期間は2010年2月の5日間である。現地では、村落住民と共に、チ-ク植林を含む景観域を踏査し、ル-トセンサス及びコドラ-ト法に基づき、生活と密接なつながりのある植物種を中心に地方名、利用方法・実態、生育立地を記載した。コドラ-ト法に基づく調査では、1994/1995年に植栽されたチ-ク植林(ポンサバン村、海抜400m)を対象に植物社会学的植生調査を行い、全出現種に関する地方名、利用方法・実態を村落住民から聞き取った。

結果および考察:ル-トセンサスの結果、2村落内の数ヶ所(海抜500-700m)において、住民がKor Ket、Kor Mong、Kor Deuayと呼ぶシイ属、及びKor Ki Mouと呼ぶマテバシイ属の常緑広葉樹が確認された。これらの樹種については、建築材、薪炭材、農具の柄としての用途などが村落住民によって認識されていた。コドラ-ト法に基づく植生調査の結果、10m×10mの調査区の中に常緑広葉樹を含む58種類の植物種が記載され、それぞれの種類に関して食用、薬用、建築材などの用途が認められた。このうち、村落住民は51種類(全出現種の88%)について地方名で同定することが可能であり、39種(67%)を特定の目的で利用していた。近年、近隣地域では、林床植生が強度に刈り込まれたチ-ク植林が見られ、急傾斜地の林分では土壌侵食の問題が懸念されている。チ-ク植林を「多様な随伴種からなる多層構造」に管理誘導することで資源ポテンシャルは高く維持され、村落住民にとってさらに利用価値の増す林分が創出されると考えられた。


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