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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-096

過去撮影の航空写真解析で判明した利尻山におけるハイマツ群落の衰退

*小熊宏之(国環研),佐藤雅彦(利尻町立博物館),廣瀬葉子(国際航業)


利尻山は日本の最北端に位置する独立峰であり、高山帯植生のハイマツが標高500m付近から群落を形成している。ハイマツ群落の変動と森林限界の樹高変化を求めるため、1963年6月(旧時期)、2007年7月(新時期)撮影の航空写真による解析を行った。対象地として、標高400m-1000m付近の北斜面から見返台園地付近の西斜面を選定した。専用スキャナ-によりデジタル化した航空写真画像を幾何補正(オルソ化)し、画素単位での変化抽出を可能とした。次に三次元化解析を行い、新・旧画像の1mグリッドでの表面高を算出した。植生区分の方法は、まず新時期画像に対して、目視判読に基づいて教師デ-タを取得し、画素を単位とした最尤法による自動分類処理を行った。分類画像をポリゴンに変換し、判読基準に従って目視判読による誤分類の修正を行い、新時期の植生区分デ-タを作成した。分類カテゴリ-は、1)ハイマツ群落、2)ササ及び草本群落、3)実体視で高さの確認が出来る高木、4)ハイマツ以外の低木、5)裸地・積雪面の5つである。次に、新時期の植生区分ポリゴンと旧時期オルソを重ね合わせて目視判読を行い、変化箇所を修正することによって旧時期の植生区分ポリゴンを作成した。比較の結果、旧時期画像で確認された標高500m付近のハイマツ群落は新時期画像では分布面積を大きく減少させ、特に西側斜面にて顕著であった。ハイマツ群落が消失した場所はササ及び草本群落へと変化していることを確認した。また、新・旧二時期の表面高の差分から樹高変化を算出すると概ね樹高成長が認められたほか、旧時期にはササ及び草本群落であった場所への高木の侵入が確認された。


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