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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-099

利根川流域における水田周辺の景観構造と植生構造の変化の関係

*三上光一,楠本良延,天野達也,徳岡良則(農環研・生物多様性), 山田晋(東大院・農),山本勝利(農環研・生物多様性)


日本の代表的な農業景観である水田とその周辺環境は生物多様性を維持する重要な要素である。一方で、その環境は農業活動により歴史的に様々なかく乱を受け続け、その植生も常に変化している。そのため、農業活動と生物多様性の関係を明らかにし、保全していくためには広範囲で継続的モニタリングが必要とされる。本研究では利根川流域の農業景観を対象に2002年と2007年にモニタリング調査を行った結果を基に水田周辺の植生構造と土地利用の経年変化とその関係について明らかにする。

調査地は、農業景観調査情報システム(RuLIS)の景観クラスの中から、利根川流域に分布する4つの農業景観(内陸部水田景観、下流域低地水田景観、下流域台地谷津田景観、下流域台地市街化景観)を対象に、それぞれから各8地区をランダムに抽出し、合計32メッシュ(1×1km)を調査区とした。そして、調査区の中の休耕田・放棄水田、畦を対象とし、2002年と2007年に同地点で539地点で1×1mの植生調査を行った。また、空中写真の判読により詳細な土地被覆図を作成し、調査区の土地利用の経年変化を算出した。

植生調査の結果、出現種は428種であった。2002年に休耕田・放棄水田であった434地点のうち、128の調査地点が復田されていた。土地被覆の経年変化については休耕田・放棄水田と畑地が減少する一方で、水田と宅地が増加していた。TWISPANによる植生分類により、水田環境に近い湿性植物群落タイプ、畦畔植物群落、乾性多年草群落などに区分された。群落タイプの2002-2007間の経年変化は休耕田として維持された環境では乾性多年草群落への推移し、復田された環境では湿性植物群落への推移していた。植生と土地利用の関係については水田、森林、休耕田の面積が植生と関係していた。


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