ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-100
*大橋春香,斉藤正恵(農工大・フロンティア農),堀江玲子(宇都宮大・農),角田裕志(農工大・農),石井遥香,野場啓(農工大院・農),桑原考史,弘重穣(農工大・フロンティア農),小池伸介,星野義延,戸田浩人,梶光一(農工大・農)
近年、野生動物による農林業被害が急激に増加しており、農林業意欲の低下や耕作放棄地の拡大の原因になるなど、全国各地で様々な問題を引き起こしている。また、耕作放棄地や管理が停止された雑木林は 野生動物の生息に好適な環境を提供することから、里地里山の農村地域は野生動物の増加と農林業活動の継続意欲の減退、耕作放棄地の増加と生物多様性の低下、といった負のスパイラルに陥っていると考えられる。特に山間部では、複数の野生動物種が生息し農林業被害を引き起こしている事例が多くみられるが、野生動物の管理や対策は個々の動物種ごとに実施される場合が多く、複数の動物種による農林業被害が発生している地域において、生息地の利用パタ-ンの動物種間の違いや、効果的な対策に関する議論は少ない。赤外線センサ-カメラを用いた自動撮影調査は、これまで哺乳類相の把握など定性的な調査に用いられてきたが、近年、安価で高性能の赤外線センサ-カメラが開発され、野外で連続的に複数台設置して調査が行えるようになったことから、複数の動物種間の生息地の利用パタ-ンの違いを明らかにするうえで、有効な手法であると考えられる。そこで、複数の動物種による農林業被害が発生している栃木県佐野市下秋山地区において、赤外線センサ-カメラを用いた野生動物による利用頻度調査を行った。今回は、近年急激に増加し、農作物被害や生態系への悪影響など様々な問題を引き起こしているイノシシとニホンジカの生息地の利用パタ-ンの違いについて報告する。