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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-113

カミキリムシ類とゴミムシダマシ類の分布と景観との相関関係の解析

*今村 航平(東北大・生命),滝 久智(森総研),槇原 寛(森総研),中静 透(東北大・生命)


日本では古来より薪炭林として里山が長らく管理・利用されていたが、近代から現代にかけてのエネルギ-政策の変化によってそうした管理が放棄された結果、ナラ枯れなどの数々の森林問題を引き起こしている事例が数多く存在する。カミキリムシ類の生態は木本植物に依存するが、その食性は幅広く、分布を調べることによって森林の状態を推し量る指標とすることができる。

カミキリムシ類は、腐朽材食の一部の亜科を除けば、各々の種で寄生対象となる植物が特定の科の数属や一、二属で決まっている。ゆえに、地域ごとの植生の違いがカミキリムシ類の分布を左右しているのは言うまでもない。しかし、ある土地でカミキリムシ類が何を食樹としているかは、地域ごとの虫の嗜好性もあるうえ、細枝や枝、幹など各部位のそれぞれの量、腐食の進行度(腐朽度)などから複合的に判断しなければわからない。

本研究では、森林計画図などを参考に多様な植生が拾えるように選び出したいくつかの地域において、透明衝突板トラップを設置し捕獲されたカミキリムシ類を地域別に比較することで地域ごとの分布の違いを明らかにすると共に、その周辺の植生(倒木含む)・土地利用を合わせて考慮することによって、どのような要素がカミキリムシ類の分布に影響を与えているのかを調べた。

宮城県七ヶ宿町にて、昨年七月下旬から八月中旬にかけて透明衝突板トラップを設置し、捕獲した昆虫の中からカミキリムシ類、ゴミムシダマシ類、クチキムシ類を選び出して同定した。また、トラップ設置地点の周囲半径10メ-トル以内の高木の植生、倒木の腐朽度とその倒木量を調べた。その解析結果を述べる。


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