ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-141
*宮内大策(横浜市立大学),川原照彦(西日本技術開発(株)),藤原一繪(横浜市立大学)
エコロジ-緑化手法による緑地形成が1970年代以降行われてきた。このような緑地の特徴は、その土地の郷土種の幼猫を密植混植し早期にうっぺいを計ること、初期管理以降は放置管理とすることである。これまで一定の成果をあげつつも早期にうっぺいされることによって林層が単純化するなどの問題点も指摘されてきた。そこで、植栽手法の再検討を行うために、植栽木の主要構成種を対象に成長や生存・死亡などに影響を与える要因を明らかにすることを目的とした。
調査は宮崎県宮崎市田野町と東諸県郡綾町の2004年と2005年に植栽された植栽地で行った。2006年1月に10m×10mのプロットを5箇所設置し、植栽樹木を対象に毎木調査を行った。2006年11月に再調査を行い、その後2010年11月まで再調査を毎年行った。
プロット内に20本以上出現したタブノキ、アラカシ、シラカシ、シイ、シロダモ、イチイガシなど高木性のものを主要構成種として、各樹種の死亡率、樹冠や基部直径の成長率などを推定した。また初期サイズと周辺個体密度が主要構成種の生存や成長に与える影響を検討した。
ほぼ全ての樹種において、初期サイズが大きく周辺個体密度が低いと生存率が高く、樹冠成長量も大きかった。しかしシロダモの生存率には初期サイズよりも周辺個体密度の影響がみられた。またイスノキやヤブツバキは生存率が高いが成長率が低い、ホルトノキやクスノキでは生存率は低いが成長率が高いといった種特性が稚樹段階から現れていたことから、種特性を考慮することで林層の単純化などの問題点への改善ができると考えられる。