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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-148

ミズナラ同齢二次林の遷移中期における10年間の動態

佐野哲也(森林総研), *持田幸良(横国大・教),土畑正和(建設環境研究所),横山一朗(湘南学園)


ミズナラが優占する二次林は、人間干渉の程度が小さいと考えられている奥山地域を中心に分布していることもあって、放置しても自然度の高い林分へ移行するとされることが多いようである。しかし、この予測を裏付けるデ-タは乏しい。本研究では10年前にミズナラ二次林内に設置した永久調査プロットの追跡調査結果をもとにその動態を明らかにし、これを検証した。

調査プロット(約0.7ha)は八ヶ岳南東麓清里(標高1380m)の伐採後約55年経過した林分に設定したものである。調査地内の環境は均一ではなく、起伏の変化により表層土壌の乾湿が大きく異なっている。適潤性黒色土が覆う緩斜面と湿潤性黒色土に覆われた平坦地からなり、地下水位の高い場所では一部湿原となり泥炭層が見られる。2009,2010年の生育期間に個体の生残、生存個体と新規加入個体のDBHと樹高を測定した(樹高>1.3m)。

すべての立地環境下で全体のBAは増加したものの、個体密度は減少した。湿原を除く閉鎖林内ではアカマツやミヤマザクラ等の高木種やズミなど耐陰性の低い低木、亜高木種が多く枯死した一方で、ミズナラの生存率が高かったため、ミズナラの相対優占度が上昇した。新規加入個体(10年間で1.3m以上に達した個体)は全体的に少なく、湿地を除いた閉鎖林分ではほとんど見られなかった。小径木が多く枯死したため、DBH階級や樹高階は一山型の分布を示すようになり単調になった。以上のことより、調査した林分はまだ樹幹淘汰期(Stem exclusion stage)の後半段階にあると結論付けられた。耐陰性の低い林冠木の枯死が後継木の侵入や成長量増加につながり、林分構造の多様化が起こるのか、今後の動態を注視して行きたい。


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