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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-193

北海道屈斜路湖和琴半島に侵入した外来種アメリカミンクMustela visonの生息状況と在来種に対する生態的インパクト

*谷本 亮(玉川大・農),高橋勇治(玉川大・農),筒井勇介(玉川大・農),金井秀明(玉川大・農)


アメリカミンク(Mustela vison)は,毛皮生産目的で1950年頃,主に北海道を中心として導入されたが,飼育場から逃走した個体,廃業になり捨てられた個体などが野生化し,現地の自然環境に定着,増殖して北海道に帰化した.本種は完全肉食動物とされており,魚やカエル,野ネズミ,ノウサギ,水鳥,甲殻類などを捕食する.在来種のエゾクロテンやイイズナなどよりも体が大きく,その強い捕食圧のために同じ地域に生息するイタチ科などの在来種の棲息地や餌資源を奪い,現地の自然生態系に影響を及ぼすことが懸念されている.本種が急激にその個体数を増やした最大の原因は道内に同種の天敵が存在しないことであり,近年,道内各地において本種の分布が確実に拡大していることが目撃情報の増加や,研究機関による報告例から明らかである.環境庁による2003年の調査では,北海道のほぼ全域での分布が明らかで,道東地域における増殖状況は,釧路湿原・釧路川での2008年の調査以来,今まで報告例の無かった屈斜路湖和琴半島(北緯43度,東経144度)でも,住民や観光客らにより同種の存在が確認されるに至った.そこで,本調査では,屈斜路湖および釧路川上水流域の生態系を保護することを目的とし,和琴半島において採集した糞から捕食対象の特定と季節変動による餌資源の変化,さらにトラップによる捕獲と目視による観察から調査地における本種の生息密度の特定を試みた.その結果,年間を通し,水域周辺に生息するエゾヤチネズミなどの哺乳類の他,魚類,鳥類,両生類,甲殻類などを広く捕食していることが明らかで,夏季には同じく外来種のウチダザリガニを特徴的に多く摂取していることが判明した.


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