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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-237

鎌倉市における外来中型食肉目3種と在来種タヌキの競合

*岩下明生,安藤元一,小川 博


本研究では鎌倉市におけるアライグマ、ハクビシン、ネコ及びタヌキについて活動場所、日周期活動、相対密度から種間に競合が存在するか検証した。主要な調査は神奈川県鎌倉市で行い、比較対象としてアライグマの侵入状況が異なる神奈川県内の19カ所の緑地でも調査を行なった。鎌倉市内では住宅地と緑地が混在する地域73地点(6,269CN)で、その他の緑地では1カ所の緑地につき3-23地点(246-2,343CN)でそれぞれ自動撮影調査を行った。撮影頻度からみるとタヌキが多い場所はどの種も多く撮影される正の相関がみられた。ネコとハクビシンでも同様な正の相関がみられた。しかし、アライグマとハクビシン、アライグマとネコでは相関がみられなかった。日周期活動についてみると、タヌキ、アライグマ及びハクビシンは類似した夜行性の活動パタ-ンを示した。ネコには明確な活動パタ-ンはみられず、他の3種とは異なる日周期活動を示した。これらの動物同士が実際に野外で出会う可能性を探るために1地点の有効撮影面積を9m2と仮定して30分以内の同所で撮影された回数から算出すると、1km2あたりタヌキとアライグマでは1日に4.4回、タヌキとハクビシンでは3.2回、タヌキとネコでは1.5回のニアミスをしていると推定された。緑地タイプ別にみると、タヌキはどの緑地タイプも選好していたが、アライグマは孤立度が低い緑地を、ハクビシンは孤立度が高い緑地をそれぞれ選好していた。ネコは緑地と住宅地の両方を選好していた。自動撮影調査による撮影頻度、行政における死体収容頭数及び救護頭数からタヌキの相対密度をみると、鎌倉市は他の緑地や市町村と比較しても平均的な密度であった。すなわち、鎌倉市においてタヌキは他の外来中型食肉目3種から影響を受けていなかった。


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