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ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-246

外来植物ミチタネツケバナにおける繁殖形質の地理的変異と国内遺伝構造の関係

*松橋彩衣子(東北大・生命),工藤洋(京大・生態研),Miltos Tsiantis(オクスフォ-ド大),牧雅之,酒井聡樹(東北大・生命)


外来生物は、本来の生息地から離れた新しい環境へ侵入・定着する際に、急速な進化を伴いやすいと考えられている。アブラナ科ミチタネツケバナはヨ-ロッパ原産の外来植物で、近年日本に侵入し急速に分布を拡大している。このような侵入後間もない種においては現在進行している進化をとらえることが期待できる。そこで、ミチタネツケバナの花形質に関し国内集団間で変異があるかを調べたところ、雄蕊数の安定性、胚珠数、フェノロジ-に変異があることが明らかになった。特に雄蕊数には大きな違いがみられ、多型(4本型、5本型、6本型)が観察できる集団と、4本型が大部分を占める集団が存在した。これらの変異が、国内侵入後の進化によるものなのかを明らかにするためには、多型集団・4本型集団の分布パタ-ンと集団分化の過程を解析し、多型集団から4本型集団、あるいはその逆の分化が生じていたかを明らかにする必要がある。そこで、国内51地点から花サンプルを採集し、各集団における雄蕊数型の構成比を調べた。その結果、多型を生じやすい集団は北陸・関西に分布が偏っていることがわかった。これらの偏りがどのような集団分化の結果生じたのかについて、SSRマ-カ-を用いた遺伝構造解析により明らかにしていく。


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