ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-HS07
山川芳樹,北井優也,伏見英雄,堀裕貴(北海道旭川農業高等学校)
都市では本来生息していた生物が減少や全滅している一方で、都市環境に適応し、定着している生物がいる。本研究の目的は、これらの都市に適応した生物の性質と環境との関連について明らかにすることである。今回の発表では校舎屋上を疑似都市環境と考え、そこに着生するコケに生息するササラダニ類についての調査結果を報告する。屋上は人による生物の移出入がない。また土壌がないためササラダニの天敵であるアリ等がいない。さらに、ササラダニは主に腐食性で餌動物の有無に影響されない。これらの条件から屋上のコケに生息するササラダニ類は環境要因との関連を調べ易いと考えた。
調査ではコケの面積、含水率や屋上における位置とササラダニ類の種及び個体密度との関係、さらにダニの体長と出現頻度の関連について調べた。全調査を通して9種のササラダニ類が得られ、環境への適応幅の広い種と都市域で増加傾向のある種が優占していた。面積や含水率と個体密度には一定の関係を見いだせなかった。しかし、屋上における位置が壁裾のコケにササラダニは生息するが、床面のコケには生息していなかった。またササラダニ類の体長と出現頻度には統計的に有意な相関はなかった。