ESJ58 一般講演(ポスタ-発表) P3-HS16
谷島由季乃,都丸祐樹(群馬県立尾瀬高等学校)
2000年頃から、尾瀬の植物がニホンジカによる食害を受けている。本校では、2003年からライトセンサス調査を6月-10月にかけて行い、2006年からはフィ-ルドサイン調査を追加した。また食害が深刻な植物の代表であるミツガシワの分布等を継続的に調査するために、2004年と2010年に尾瀬ヶ原の山ノ鼻地区-見晴地区間のミツガシワの分布調査を、2008年からは竜宮地区で約40枚の木道の写真撮影を毎月実施した。
ニホンジカは雪解け直後は尾瀬ヶ原で、その後は周囲の森林で行動し、秋になると、尾瀬ヶ原の南東から越冬地へ移動していると考えられる。そして120種以上の植物を採食し、時期に応じて特定の種を多く採食する傾向がある。
ミツガシワは、木道周辺では増加している。これは、新しく設置された木道が水を溜め、ミツガシワに適した環境を作るからと考える。また、小さい株も多く確認できた。これは、根まで被害を受けているためと考える。竜宮地区での写真撮影では、調査範囲の20-30%程度が回復できないほどの食害にあっていること、植物の芽が出る時期が遅ければ食害から免れることが分かった。