ESJ58 企画集会 T05-2
*京極大助(京大・農・昆虫生態), 西田隆義(滋賀県立大・環境生態)
侵入外来種の根絶や希少種の保全といった応用上の要請から、アリ-効果への関心が高まっている。アリ-効果を引き起こすメカニズムについては、配偶相手の発見効率の低下、近親交配の増加をはじめ数多くとなえられているが、その原因が明らかでない例も少なくない。従来の研究においては捕食・被食以外の種間相互作用はほとんど考慮されてこなかったが、繁殖干渉はその頻度依存性によってアリ-効果を引き起こすことが予測される。すなわち、干渉をするオスの数が一定であるなら、干渉を受けるメスの数が減るとメス1頭あたりが受ける干渉の効果が大きくなり、メスの適応度が低下することが期待される。この現象はアリ-効果に他ならない。この予測を、すでに繁殖干渉の存在が明らかとなっているアズキゾウムシ?ヨツモンマメゾウムシ系で検証した。その結果、アズキゾウムシのオスが存在する場合に限りヨツモンマメゾウムシにアリ-効果が見られた。この結果は、種間競争において正のフィ-ドバックがかかり競争排除が生じるメカニズムなど、新たな個体群生態学的視点を提供している。また低密度個体群の管理のための方法論についても重要な示唆を与えている。