ESJ58 企画集会 T11-1
山道真人(総研大)
一般の生態学者がエコゲノミクスを行おうとする際に、もっとも大きな障害の1つになると考えられるのが集団遺伝学である。集団遺伝学はもともと理論的な側面が先行して発展してきた分野であるためにとっつきにくく感じる人が多く、また生態学との接点はこれまでそれほど多くなかった。しかし、集団内の多型パタ-ンから集団サイズ・過去の個体数変動・自然選択の強さや選択が働いた時期を推定しようとする際には、集団遺伝学的手法が必須となる。
そこで本発表では、発表者が日本生態学会誌で連載している「始めよう!エコゲノミクス」の内容をもとに、集団遺伝学とは何か、またその手法を用いて何ができるのかという2つの点に絞って紹介する。特に、日本語の解説書が少ないコアレセント理論の概要について、なるべく数式を用いずに直感的な理解を目指して発表を行う。最後に、集団遺伝学的解析を行う際に便利なソフトと参考文献を紹介する。更に深く理解したい方には、ぜひ本発表をきっかけに連載記事を読んでいただきたい。