ESJ58 自由集会 W04
3月8日 17:00−19:00 D 会場
企画者: 嶺田拓也(農研機構・農工研), 日鷹一雅(愛媛大・農)
昨今,身近な山里海で各種の「生きもの調査」など市民参加型の生物相調査やモニタリングが増えている。これらの活動が,担い手不足が顕在化している「山里海」で新たなコモンズとして期待される側面は大きい。しかし,市民が「身近な環境」調査の一環として期待する分類精度と分類学者が求める精度にはかなり隔たりがある。山里海を研究対象としている生態学徒にもそれなりの生物分類能力が求められるが,研究者が生物分類スキルを向上させることよりも,現場の農山漁村でこのスキルを支援するのは容易ではない。COP10で決議されたSATOYAMAイニシャティブを実現する上でも,「山里海」で必要な「分類スキル」は,各人の得手不得手にあわせた磨き方が求められるのではないだろうか。また,「分類スキル」習得の前提として,身近にいる生きものの存在を五感で感じ,気づき,彼らの生活や私たちとの関係性について考えをめぐらすことも必要かも知れない。
そこで,農山漁村の生態系,生物多様性の保全や再生の担い手に対し,各地でボトムアップ型の生物分類スキルを伝えるべく試行錯誤している多様なパラタクソノミスト(Parataxonomist)が集まり,それぞれの試行を紹介しあいながら,新たなコモンズの再生に向けての生物分類スキルのあり方やそれに対する支援事業の方向性を探る。
話題提供者は以下に加え,中井克樹(琵琶湖博物館),浜本麦(重富干潟小さな博物館),稻垣栄洋(静岡県農林技術研究所),GTI推進部門からなどの報告,コメントを予定している。
大原昌宏(北大・総合博物館):北大におけるパラタクソノミスト養成講座の成果と課題
赤石大輔(能登半島里山里海自然学校):里山再生とキノコの食育パラタク