ESJ58 自由集会 W22
3月11日 18:00−20:00 C 会場
企画者: 大野啓一(千葉県立中央博物館)
ツル植物は、自重支持のコストを節約できる分、葉や茎の生長により多くを投資できるという有利な側面をもつ。その一方、支持ホストを必要とするため、その探索に余分なコストを必要とする生長様式でもある。種数・アバンダンス共に熱帯域に多いといわれるが、日本でも多くの分類群が森林や林縁の主要構成種となっており、木本性のものに限ると巻き付き型と付着根型の二つの登攀型が大部分を占めている。ツルであることでシュ-トの伸長パタ-ンやその機能分化などに分類群を越えた共通性が認められる一方、登攀型や種ごとの違いもあると考えられる。近年、亜熱帯から冷温帯にかけての多くの木本性ツル植物について、種ごとの生長特性やミクロな環境分布について定量的なデ-タが蓄積されている。本集会では、とくに巻き付き型と付着根型の対比を意識しながら、ツル植物の生長特性についての最新の研究成果を御紹介いただくとともに、それらとそれぞれの種・登攀型の分布態様との関係についても考えてみたい。
自立樹木と比較した木本性つる植物の成長特性 市橋隆自(九州大・理・生物)
付着根型つる植物の負の光屈性と林床における生育適地 加藤正吾(岐阜大・応用生物科学)
巻き付き型ツル植物の生長特性と宿主植生構造の関係 西尾孝佳(宇都宮大・雑草科学研究センタ-)
ツル植物の種特性から分布パタ-ンを考える−環境傾度との関係− 楠本聞太郎(九州大・院・生物資源)