送付先リスト(役職は送付当時) : 学会会長, 次期会長, 常任委員4名, 幹事長, 庶務, 会計, 英文誌編集長, 和文誌編集長, 次期大会実行委員長, 次期大会会長, 日本生態学会事務局
日本生態学会会長
○○○○様
日本生態学会大会に託児室設置を
継続希望する要望書賛同者の会
代表 川窪伸光
日本生態学会は,世界の生態学研究における科学の発展に寄与しているばかりでなく,日本の自然保護・環境保全問題の理論的・実践的解決策をリードする画期的学会として社会的にも発展してきました。そして,その発展は,日本生態学会執行部の学会運営における献身的活動や,大会における学会員の精力的な研究発表と多様な人材の学術的交流によってもたらされてきました。
実際,近年の日本生態学会の大会は, 1000名以上の参加者を受け入れ,非常にオ ープンな学会として,多様な人材の学術的交流の場としての有効性をさらに強力に発揮しています。しかし,そのような日本生態学会大会であっても,「子育て」(註1)中の研究者にとっては参加に大きな困難がともないます。
「子育て」はヒトの生活史にとって重要なステージであるにも関わらず,現代日本社会の「子育て」環境は,理想的と言うにはほど遠い状況にあることは周知の事実です。そして,生活形態が核家族化し,両親の共働き(保護者の常時労働)が,研究者世帯にとっても例外でない現在,この「子育て」は,生態学会大会への参加希望者にとって,参加辞退を引き起こす深刻なハンディキャップとなっています。
1992年の「育児休業法」施行から,労働法の整備が積極的に実施されてきたように,「子育て」は家族(保護者)の責任はもちろんのこと,社会もある程度の責任をもち,育児環境改善に配慮することが求められています。このような背景のもと,学術的にも社会的にも理想的生活環境を提言しリードする日本生態学会は,この育児環境改善にも当然配慮していくべきものと考えます。
前回の広島大学における日本生態学会大会では,大会関係者の努力によって,託児所が設けられ,「子育て」中の研究者にとって非常に喜ばしい状況が生まれました。そして,その託児所の存在は,将来,「子育て」に従事するかもしれない,共働きである若手研究者や,学生・大学院生に,安心して子供を持つことができる可能性を明るく示す画期的な機会となりました。
ついては,託児室の設置を今後とも継続することで,「子育て」中の研究者の参加を可能にし,精力的に研究を行っている生態学研究者にとって,育児がハンディキャップとならない大会運営がなされることを,強く要望します。
註1:ここでの「子育て」は,主に0〜10歳程度の子供の育児を意味し, 子供が強く保護者に依存する時期とその形態を指し示す総合的語句として 使用しています。また,社会的に女性労働として捉えられがちな「子育て」 ですが,ここでの「子育て中の研究者」には男性を平等に含んでいます。 したがって,現実として女性生態学研究者(学会員)の増加が,託児室需 要の増加に結びついていたとしても,この要望書が,女性研究者の問題と して提起されているのではないことにご留意ください。
賛同者一覧(生態学会員218名:ほぼ五十音順)
この要望書に関する問い合わせ先
川窪伸光
岐阜大学農学部多様性生物学講座