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会長からのメッセージ −その17−

「泰山」

 去年の今頃は中静さん、Hongさん、Namさん、などと超満員、狂騒の北京駅を寝台車で発ち、朝、この山の麓までやってきた。もちろん登るためである。ところが、台風接近中ということで、天気は荒れ模様。登山はできなかった。山に登るというので、ノートパソコンなど余分な荷物はみな北京に置いてきたから、こういう場合にすることがない。案内につけていただいた青年も気を使って、観光地や博物館などいろいろ案内してくれた。早く北京に帰りたいのだが、帰りの列車も夜行寝台でチケットは決まっている。今は、日本のお盆のような移動時期らしく、チケットの変更などはできない。というような事情で、久しぶりにゆっくりとしたというと聞こえはよいが、だらだらと時間を潰した珍道中で北京にまた帰ってきた。

 そもそもEAFESのビジネスミーティングで中国に行ったのであった。主な議題は新潟での第2回コンフェレンス。中国の方はまだカードシステムに馴染んでない人が多く、カードで支払えない。銀行小切手などで参加料を振り込もうとすると馬鹿馬鹿しいほどの手数料をとられる。それで新潟現地で支払うということにしていただくと有りがたいということであった。大丈夫でしょう。ノープロブレムと引き受けた。また、中国から日本に来るについては、ビザを取得する必要上、招待状とか身元引き受け証とかがいります。うん、それは会長名で発行するわけだから、問題ありません。と、引き受けたけれども、これは相当なトラブル源だった。

 というのは、いざ受付を初めてみると、アジアやアフリカの諸国から、申し込みがたくさん舞い込んできたのである。最初は申し込み好調だなと喜んではいたのだが。しかし、従来EAFESと関係の無かったアフリカの特定の国から大量に申し込みがくると、さすがに私たちも身構えた。研究発表の申し込みなどは無くて、参加だけ、それで身元保証してくれということである。そこで、あなたはどんな目的で来るのか、どんな分野に興味があるのか、現在はどんな研究をしているのかなどを問い合わせることにした。それでも来たいという人については、招待はするが身元保証はしないということに決めた。こういった方々が何人くらい本当に来るのか、楽しみだったが、結局一人も来なかった。不法入国というか、不法滞在などの片棒を担ぐことになるところであった。次回の反省だけど、日本での次回は5年ほど先だから、忘れていますね。

 ビジネスミーティングではコングレスのシンポジウムも話題になった。私たちは実行委員会を作って、テーマにふさわしい発表者を中国、韓国、日本から選定し、お願いし始めたところだった。それらの発表者には中国生態学会としては相談に与っていない、といわれて、ぎくっ、となった。そうだな。相談しなければいけなかったなー。「EAFESなんだからね」と、チョウーシドン先生に言われてしまった。でも中国生態学会から推薦していただいた発表者を一人追加することで話はまとまった。よかったヨカッタ。

 会議の後は、会食。北京ダックの店である。随分スゴイ店のようで、この店で北京ダックを食べたという証明書のようなものを発行してくれた。普段行けないようなところへ案内して下さるのはうれしいが、同時に気が重い。日本に来ていただいた時に、それほど豪華なおもてなしはできないからだ。でも、私たちにはそれなりのスタイルがあるので、それ以上はできない。新潟では会議をしながらの食事だったので、ごく軽いもので済ましていただいた。