−某月忘日−
今年の松山大会で口頭発表した論文をやっと投稿した。口頭発表するものは、原稿が完成しているものでなくてはいけない、発表したものは出来るだけ早く投稿すべし、と、学生さんには言っているもので。今年の前半、6月末日までには投稿しようという目的をたてた。データは10年以上前の古いもので、アイデアも数年前から考えていて、去年印刷された論文のディスカッション部分に書いたのであるけれども、エディターから、とにかく短くと厳命を受け、しかも矛盾したことに表を新たに2つ付け加えよという。で、本文と図は思い切ってばっさりと削ってしまったという経緯がある。削った部分を主体にして新しい論文にしようということである。題名は、前の論文の原稿を見てくれた梅木さんが、この部分を見て「面白いですね、統計力学のエルゴード仮説みたいですね」というコメントをくれたので、そこから付けた。ついでに著者にも入って貰った。といった経緯で出来上がったものである。投稿しようと思って見直したら、なんと文字化けがみつかったりする。それでなくても、電子投稿は慣れていないので時間がかかる。投稿プロセスに入ってから、本文全体や各節の語数を数えなければならなくなったり。ということで投稿したあとは、ほっとしてしまう。
原稿の受付と前後して、同じ雑誌から原稿の校閲依頼がくる。受付と依頼をバランスさせて、全体の平衡を保っているのか?とも思ったが、単なる偶然であったようだ。依頼されると、少なくともその原稿と、場合によっては関連論文を2,3読むことになるので、不勉強家の私にとっては有りがたいチャンスではあるのだが。
−忘月某日−
町内会のゴミ管理仕事に行く。ゴミ集積所に立ち番をしていて、不法な投棄がなされていないか、などをチェックするもので、今年1年間、月に2回の大型ゴミ等のゴミ出し日に出ることになっている。今頃の季節は、すでに夜があけていて、気分がよいが、冬はまだ真っ暗な時間帯であって、寒くて大変である。プラスチックゴミの中に間違ったモノが入っていないか、スプレーかんなどの中身が抜いてあるか、電池などの投棄、等々だが、係りの自分でも判断に困るモノなども多い。プラスチックのように見えても、荷造り用の幅の広いテープ、ストロー、洗濯やさんの袋などは違うらしい。相役の人は丁寧にチェックしているが僕は適当である。でも生ゴミなどが混ぜてあると手に持っただけで解るからこれはチェックする。環境問題というのも、こういった仕事が大事なはずである、と考えてやってはいるのだが、そろそろ疲れてきたところである。来週が終われば、今年の半分の峠を越したことになる。
−忘月忘日−
事務局のSさんから、生態学会会長宛に、「生態学琵琶湖賞」の授賞式に出席して欲しいという要望が来ていますがどうなさいますか?というメイルが入った。「ひま人」を自称しているてまえ「忙しくて出られない」という口実は使えない。「遠くて行けない」と返事を出そうとしたら、丁度常任委員会の翌日で、私は京都に行くことになっている。京都からならごく近くである。おまけに、鷲谷前会長も出席されました、ということで退路は完全に絶たれてしまった。「ついては先生に記念植樹をやっていただきたいということでした」。そうか、琵琶湖賞は記念に植樹をするんだ。でもそれは良いことだな。鷲谷さんが長靴をはいて、植樹際に臨まれている図が目に浮かんだ。こういう場合は儀式的なことだから、植え穴などは掘ってあって、形ばかり土をかければよいのだろう。長靴なども向こうで用意するんだろう、などと考えていたら、植樹ではなくて、記念の祝辞の間違いであったらしい。電話だとよくある聞き違いだが、なかなか愉快な間違いである。さて、いかにも祝辞らしい当たり障りのない話を考えなければならない。
−忘月某日−
講義のたびに宿題を出して、翌週提出して貰っている。学生諸君はインターネットで検索し、それを丸写しでレポートにする。僕の知らないこともあって、なかなか勉強にはなるが、同じレポートばかりだと飽きてくる。それでどれもOKとサインして終わりにする。学生諸君はOKマークだけでは不満なようだが、コピペーで瞬時にできてしまうようなレポートに、それ以上の時間はかけられない。レポートとはいえ、単なる出席票代わりではないか。こちらにも言い分はあるが、問題の出し方が悪いのであると反省し、インターネットでは解決出来ない問題を考えることにした。その一つは、授業で仮説や野外研究の実例を紹介し、このような仮説を検証するためにはどのような調査や実験を計画すればよいか?というものである。自分の頭で考えた答案があるからなかなか面白い。反面、それらに対して、いちいちコメントを書かなければならないから、今までのように一瞬に採点してしまうというわけには行かない。今日はその宿題読み。それぞれコメントを書いていると、とうとう指のペンだこが潰れてしまった。
▲釧路大会の前日、レンタカーを借りて納沙布岬の先端まで行ってきました。快晴で国後島がよく見えました。