いつもホームページにかくのごとき駄文を書いているにもかかわらず、福岡大会の参加申し込みがスタートしていることに気が付かなかった。僕は小心者であるにかかわらず迂闊者なのである。コーヒ茶碗を左手にもって、ゆったりと椅子に腰掛けて、「ときに今、何時かな」などとおもう。それで腕時計を見ようとして「熱っチッチ!」とか、髭を剃りながら歌をうたいだして、ざくっと口を切ったり。これ以上ここには書けないことが多々ある。早く申し込まないと懇親会に参加できなくなるのだが、そのためには研究発表をとりまとめないと、そのためにはまずこの文章をとりまとめないと、といった連鎖に追われているのである。
地球環境変化について近年は温暖化と京都議定書が大きな話題となっていますが、その前はオゾン層破壊とモントリオール議定書が話題の中心であったように思います。いうまでもなく、オゾン層破壊によって紫外線照射が増え、皮膚ガンなどの疾病が増加するのではないかとのおそれがあるのです。今日の話題は紫外線を浴びる機会の多い野外研究者の方々に、特に、目の保護が大切だと訴えたいというものです。
黄班変性、白内障、緑内障などの眼病が近年増えてきているというのは、眼科の専門家にも認識されているようです。一部については地球環境との関連も認識されていますが、まだ十分明らかでないものもあります。黄班変性は正式には加齢黄班変性というのが正しいらしくて、加齢性ということですが、近年すごく増えているらしい。ということは、単に加齢だけでなく、環境変化が疑われるところでしょう。その中でも、侵出型といわれるのは、網膜の血管からリピッドなどが侵出して網膜上に膜のように溜まってしまって、前が見えにくくなるというもので、急激に進行します。実は私の左眼がそうで、数年の間に、文字が読めなくなるまでになってしまった。新生血管がたくさん伸び出し、これが破れやすいためにそのようになるのだと言われているけれども、その刺激はやはり紫外線などにあるのではないか、というのが私の素人なりの考えです。素人とはいえ、この病気の実体験者であるからして、体験していない医者のほうが私よりも素人であるともいえる。したがって皆様におかれましては、それなりの重みをもって聞いて下さい。
目の前に膜がかかっているだけだから、完全に失明することはないが、文字が読めなければ私たちのような研究商売では失明に近い。ということで困ったことになります。キャッチボールなどはできない。目の前にボールが来てから、急に視界から消えるので、大変怖い。階段を上がるのは平気だが下りは怖い。とくに第一歩を踏み出すのが怖いなどのことがあるが、まあ普通にはそれほど不自由していない。本を読むのは右眼で読む。スケッチなどは大変不自由だ。
治療法ですが、液漏れを起こしている血管をレーザーで焼いてしまうというのが主流である。これは、うまくいっても現状維持であって、本来の意味で治癒されるわけではない。最近は蛍光色素を入れて、本当の欠陥部分だけを見つけ出し、焼き切るという技術が進歩しているので、危険を少なくして、うまく焼き切ることができるという。大阪大学の眼科が進んでいるという噂だが、僕の情報は1年前のものなので、最近はどこの眼科でもできるのではないか。網膜に「かさぶた」のように溜まった、リピッドを拭いさったり、化学的に分解してくれるようなものがあるとよいのだが、今はまだ出来ないようである。僕は、そのような治癒法の開発に期待して、外科的療法をやらずに待っているところなのです。
それで予防法ですが、血管を強くする薬剤といっても、今は「薬品」ではなくサプリメントとして扱われているものに、ルテインがあります。これは植物のもつ、光合成にも関係する色素の一つですが、効果があるという報告があるらしい。植物のなかではブルーベリーなんかに含有量が多いという。錠剤も市販されている。僕もこれを服用しているわけです。
それから、野外調査に行くときは、ツバの広い帽子をかぶりましょう。よくタオルなんかを頭に巻いている人があるが、あれでは頭の保護にはなっても眼の保護にはならないからです。問題はサングラスなんですが、サングラスは紫外線カットのものでなければいけません。可視光だけをカットするのでは、役に立たないどころか逆効果の可能性があります。つまり可視光をカットするので、眼は眩しくないものだから、瞳孔を大きく開き、紫外線をかえってたくさん受け入れてしまうのではないか、というのが、これまた私の素人考えです。
というわけで僕は、最近帽子をかぶり(これは昔からかぶっていたけど)ゴーグルのような紫外線よけのサングラスを眼鏡(これも紫外線カットになっている)の上からかけています。
▲男体山と中禅寺湖
寺島さん、北島さんなどが企画され、日光で開催された日米光合成セミナーに参加してきました。盛況で、参加者は大きな刺激を受けて帰ったと思う。僕のような高齢者がそういうのだから、若い人にとってはすごい経験だったろう。僕は国際会議などに参加すると3日目くらいから、英語が少し聞き取れるようになったり、自分でも少し話せるようになる。しかし今回のような短期の会議では、話せるようになった頃に終わってしまう。そこで一計を案じ、数日前から聞き取りのテープを聞くことにした。枕元にラジカセを置き、それを聞く。そのうち寝てしまうけれども、それでもなんらかの効果はあるはずだ。しかし、「聞いたら寝る」という条件付けをしてしまったみたいで・・・講演が始まると・・・・