東アジア生態学会連合(East Asia Federation of Ecological Societies)の第4回大会が,9月13−17日に韓国尚州(Sangju)市の慶北大学で開催されました。EAFESは韓国でINTECOLが開催されたのをきっかけに,中国,韓国,日本の生態学会が連携して東アジアの学会連合を作ろうというところから始まっています。2年に一度,3カ国が持ち回りで大会を開催することになっていて,これまで韓国のモッポ,日本の新潟,中国のペキンで開催されました。一巡して,再び韓国開催となったわけですが,今回の大会からは,台湾の亜熱帯生態学会,東アジア太平洋ILTER(EAP-ILTER)も学会メンバーとして加わっています。
今回の参加者は,韓国141,中国43,日本44,ドイツ4,そのほか,タイ,台湾,ベトナム,チェコ,オーストラリア,アメリカ,インドネシア,フィリピンなど合計236人と発表されました。ただし,韓国生態学会長のKim Eun-Shikさんによれば,韓国からはこのほかに,森林局,環境関係の地方事務所などから200−300人の参加があったということです。
会場の尚州(Sangju)市は歴史のある町らしく,日本の地方都市などに良く似た風景でしたが,日本とちがって街中の商店街が賑やかで,活気がありました。日本の里山に良く似た景観も残っています。ソウルから高速バスで2.5−3時間ですが,電車でも乗り換えなどでそれ以上にかかり,韓国語が不自由だとやや不便な場所かもしれません。インチョン国際空港からシャトルバスがチャーターされていましたが,その連絡が1−2日前まで発表されなかったため,知らずに自力で来た人も多かったようです。また,市内に宿泊施設が少なく,ホテルやモーテルなどに分宿しましたが,そのうち一つはバスで約50分かかるリゾートホテルで,毎日送り迎えがあり,朝食を学会会場で食べるというような設定でした。昼食も毎日大会が準備していました。毎日のシャトルバスを使わないと自分たちで行動するのは,かなり困難でしたが,タクシーなどを使って自由に行動していた方も少なからずおられたようです。
どこまでが参加費に含まれているのか,よくわかりませんが,初日のレセプション,3日目のバンケットのほか,2日目の市内エクスカーションのあとの夕食も用意されていたほか,プレナリースピーカーやキーノートスピーカー,あるいは何人かの参加者(学生も含む)には参加費用のサポートもありましたので,ずいぶん大盤振る舞いだと感じました。おそらく,開催地域からかなりの資金的サポートがあったのではないかと思います。
講演の内訳をみると,キーノート3,プレナリー9,シンポジウム23,オーラルセッション3,ワークショップ1,ポスター発表143ということでした。ワークショップは韓国人のみのもので,森林局や環境省などを中心としたワークショップのようでした。なかなか発表やポスターをゆっくりと見る時間がありませんでしたが,日本からの参加者もシンポジウムをオーガナイズしていただきましたし,学生の会員にも多く参加していただき,発表の内容も面白いものが多いという印象でした。閉会式では,ポスター賞の受賞式がありました。日本人も何人かが受賞しておられたのですが,すでに会場を離れておられた方が多く,すこし残念でした。参加された方は御苦労さまでした。また,ありがとうございました。
2012年の3月には,日本で大会を行うことになっています。通常の生態学会の年次大会と同時に滋賀県大津市の竜谷大学で行うことになっており,すでに大会企画委員会の方にはその企画などの検討を開始していただいています。韓国の大会にもまして活発な議論ができるように,大会企画委員,実行委員の方々だけでなく,皆さんの協力をお願いいたします。