日本生態学会

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会長からのメッセージ -その4-

「ESJ67のご報告とESJ68へ向けてのお願い」

 ESJ68(第68回日本生態学会岡山大会)の参加申し込み(各種集会・講演)が始まりました。6月3日発出の 会長からのメッセージ にあるとおり、今大会は全面的にオンラインで実施いたします。オンライン大会は日本生態学会として初の試みなので、これまで生態学会執行部・企画委員会・実行委員会合同でタスクフォースを組織して、さまざまな検討を重ねて遺漏なく実施できる見込みで準備を進めております。ポスト・コロナの新しい学会大会の姿を展望しつつ、無事に開催できるまでのプロセスが滞ることがないように準備を続けていきますので、会員のみなさまにはよろしくご協力をお願い申し上げます。

 さて、ESJ67(第67回日本生態学会名古屋大会)の概要については、すでに理事会にて報告して 議事録 として公開しておりますが、会長からのメッセージとしてあらためて会員のみなさまにお知らせいたします。まずESJ67は新型コロナウイルスの影響により中止(総会、各種授賞式・受賞講演のみオンライン開催)となりましたが、発表登録数は過去最高だったことを報告させていただきます。また、会計の収支は、以下のようになっています。

<ESJ67本体>

大会中止決定時点までに大会準備に要した費用などで1千万円強の支払いが発生しており、占部城太郎前会長のもとでキャンセル・ポリシーを策定し、大幅な赤字を避けるために大会参加費を返金しないことに決定しました。
収入: 14,260,601円(うち、参加費で13,790,000円)
支出: 10,596,182円
収支: 3,664,419円(黒字)

<ESJ67懇親会>

既に会場費などにキャンセル料が発生していたため、余剰がでたら各種賞の準備金に回すというお約束で、有志による寄附(返金しない)を募りました。返還希望者には、手数料以外の全額を返金いたしました。
収入: 1,319,824円(全額寄附による)
支出: 1,600,000円
収支: -280,176円(赤字)

 大会本体に関して、大会参加費を返金しない方針にご賛同をいただいたおかげで、1千万円規模の赤字を避けることができたことに改めてお礼を申し上げます。懇親会費についても、多くの方に寄附していただいたことで、160万円のキャンセル料のかなりの部分を寄付金で埋め合わせることができ、赤字額を大幅に減らすことができました。この点に関しても、重ねてお礼を申し上げます。ただ、懇親会関係では余剰はでなかったため、寄附していただいた懇親会費は賞準備金には回すことはできませんでした。

 いっぽうでこのESJ67の黒字分を今年度開催のESJ68に還元(参加費の低減に使用)するか否かは、理事会で真剣に議論をいたしました。還元すべきである、還元しなくてもよい、という双方のご意見がありましたが、1)今回は大会中止という特殊な事情による黒字であること、2)過去10回の大会では大幅な赤字超過(赤字10,951,881円、黒字5,941,199円)であること、3)科研費(国際情報発信強化)が終了する2023年以降のことを考えるとそれぞれの大会を黒字にしていく努力が強く求められていること、の3点から、黒字分の3,664,419円はそのまま日本生態学会の資産へ繰り入れさせていただき、オンライン大会となるESJ68では当該大会の準備と開催に要する費用を計算して、それをベースに参加費を算出する方法をとることにしました。

 オンライン大会とはいえ、2000人規模の集会をおこなうには、使用するプラットフォームやツールの構築・利用にかかる費用や、円滑なオペレーションのために学術集会請負業者への運営委託費などを支出しなければなりません。また男女共同参画の立場から、オンライン大会でも会員の大会参加による託児所利用などの費用の補助も必要であるという結論になりました。

 以上のことを会長から改めて会員のみなさまにご報告をするとともに、ESJ68成功に向けてのご理解とご協力をお願いする所存です。COVID-19によるコロナ禍は、これから寒い時期に向かい、決して楽観できない状況です。大都市圏をはじめとした日本全体の感染状況や、リモートワークなどを含む「新しい日常」が今後どのような展開になるとしても、そのネガティブな影響を克服し、よりよい社会の変革に結びつけなければなりません。そのために学術、とりわけ生態学の果たすべき役割は大きいと考えています。そのための学会大会開催、そのための学会運営に一層のご協力をお願いいたします。

日本生態学会会長
湯本 貴和


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