| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(口頭発表) B1-01

大気CO2濃度と生物的窒素固定の相互作用がダイズの繁殖収量に及ぼす影響

*及川真平(京工繊大・生物資源フ),宮城佳明,彦坂幸毅(東北大・院・生命),衣笠利彦(鳥取大・農),松波寿典,岡田益己(東北農研セ・寒冷地),国分牧衛(東北大・院・農),広瀬忠樹(東京農大・国際食料)

窒素(N)を多量に含む種子を作る植物では、大気中のCO2濃度が上昇しても、同時にNの供給が十分でなければ種子生産は促進されない。N固定菌と共生関係を持つ植物では、植物が光合成で同化した炭水化物をN固定菌に供給する代わりに、菌が固定したNを利用することができる。植物から根粒菌に供給される同化産物は、CO2上昇によって増加する。ゆえに、根粒着生種が利用可能なNそして種子生産は高CO2下で増加する、という仮説が成り立つ。本研究では、以上の仮説を検証するために、根粒着生、非着生ダイズ(それぞれEnrei、En1282)を2つのCO2濃度下(360, 560 ppm)で生育させ、N同化と収量(種子生産)を調査した。高CO2下において、EnreiのN同化と収量は増加したが、En1282では有意な増加は見られなかった。また、Enreiにおける高CO2によるN同化の促進は、栄養成長期間には見られず、開花後に見られた。これは、N固定菌によるNの供給が、開花期以降に急増したことと符号する。以上ふたつの結果は、上の仮説を支持する。

日本生態学会