| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(口頭発表) C1-02
日本列島の暖温帯から冷温帯下部にかて分布し,暖温帯落葉広葉樹林(吉良ほか,1976)や中間温帯林(鈴木,1961)あるいは下部温帯林 (野嵜・奥富,1990) とよばれるアベマキ,クヌギの混生するコナラ林は,最新の植物社会学的群落体系(鈴木,2001)ではブナ(Fc)クラスに所属するコナラ−ミズナラ(Qs-g)オーダーと次位のイヌシデ−コナラ(CQ)群団にまとめられている.上記のコナラ林と同質で,暖温帯落葉広葉樹林(南部)と称する森林植生が朝鮮半島の南部に分布する(吉良ほか,1976)が,演者ら(大野・宋,2003)はこの森林植生をモンゴリナラ(Qm)クラスに所属するトウハウチワカエデ−モンゴリナラオーダーと次位のナラガシワ−アベマキ(Qa-v)群団に分類している.鈴木ら(Suzuki et al.,2003)は中国東部の長江下流域において,日本列島や朝鮮半島のコナラ林と同質の森林植生としてQuercetalia fabri-brevipetiolatae(Qf-b)オーダーと次位のQuercion fabri群団を分類記載している.以上の3地域に分布する森林植生の群落分類体系について再検討を行った結果,日本列島の関東以西および朝鮮半島の南部に分布するコナラ林は成帯性の森林帯を形成する固有の植生単位と考えられた.すなわち日本のCQ群団,韓国のQa-v群団とタンナザサ−アカシデ群団はコナラ−アベマキオーダーにまとめられる.さらにこのオーダーと中国のQf-bオーダーはアベマキクラスにまとめられる.このクラスは,日本のFcクラス,韓国のQmクラスなど冷温帯に分布する成帯性の植生単位から分離独立させたものである.またこの群落体系では,Qs-gオーダーはササ−ブナオーダーに所属する亜オーダーに位置づけられる.