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一般講演(口頭発表) H2-02
この研究の目的は、ブナ林による二酸化炭素吸収量(GPP)をKikuzawa & Lechowicz (2006)による手法で推定し、新しい手法の適用性を検証しようとするものである。GPPは1枚の葉の生涯光合成量、年間落葉量、および定数(純光合成速度から総光合成速度への変換定数)の3者の積で与えられる。
1枚の葉の生涯光合成量は平均瞬間光合成速度、平均労働時間、葉寿命の3者の積で与えられる。このうち平均労働時間を求めるのは面倒であるが、われわれは光強度の変化および、葉寿命からの推定の二つの方法を適用し、検証した。両方法による推定値は(1.45 vs 1.43 hr day-1)ときわめて良く一致した。葉寿命による推定は06、07の2年間行ったが、(1.49 vs 1.43 hr day-1)とこれまた安定した値を示した。葉の生涯光合成速度の推定値は平均2.99 g g-1であり、レンジは2倍程度であった。これらから推定された若いブナ林のGPP は29.6 ton (dry matter) ha-1 yr-1であった。
注:葉寿命から平均労働時間を求める
m=2bC/L2AmaxただしL は葉寿命、Amaxは瞬間最大光合成速度、bはAmaxが0になる日数、Cは葉の作成コスト。