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一般講演(口頭発表) H2-07
ステップ草原はアジア地域で二番目に大きな生態系であり、地球規模での炭素循環に大きく寄与すると考えられるが、CO2フラックスに関してはこれまでに報告が少ない。また、モンゴルのステップ草原では過放牧による植生の劣化が指摘されている。しかし、放牧がどのようにCO2フラックスに寄与しているかについては十分な調査が行われていない。そのため、ステップ草原のCO2動態と環境要因及び放牧の影響を明らかにする必要がある。
本研究ではモンゴル中部に位置する典型草原のKBU地域において2002年の夏に禁牧区を設置し、2003年と2006年にチャンバー法によりCO2フラックス(NEP、GPP、Re)を測定し、CO2フラックスの季節変動と放牧の影響の評価を行った。その結果、2003年には最大の地上部バイオマスとCO2フラックスに有意差はなく、2006年には禁牧区で地上部バイオマス及びCO2吸収量が有意に増加していた。
また、モデルを使用して年間のCO2フラックスの量及び環境要因に対するフラックスの変化のパターンを推定した。その結果、2003年には放牧区で1g C m-2、禁牧区で19g C m-2の炭素吸収があり、2006年には放牧区で15g C m-2、禁牧区で1g C m-2の炭素放出があったと推定された。さらに、同時に測定されている渦相関法との比較し、手法間での違いについて検討した。