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一般講演(口頭発表) H2-13
窒素は多くの土壌で植物の成長を制限する元素であると考えられている.デトリタス中の窒素を植物は直接利用できないため,土壌における窒素無機化速度は植物にとって利用可能な窒素の供給量の指標として重要である.窒素はデトリタスの分解によって供給され,分解は微生物の活動によって行われる.それでは,分解系においてデトリタスと微生物が存在すれば,植物に必要な窒素が循環するのだろうか?
土壌における食物網は種間関係の把握が困難なため,「食う−食われる」の関係の特定が難しい.一方,群集は土壌ごと採集できるので,土壌からの抽出効率の問題が残るものの,食物網全体を一定の精度で捉えることが可能である.これまでに詳細な食物網解析に基づく窒素循環モデルがいくつかの土壌から報告されている.これらの結果からは,微生物食者を含む土壌動物が窒素無機化の30から80%に寄与していることが示されており,従来の炭素ベースの評価に比べて土壌動物の寄与が高く,窒素循環に微生物を食べる動物が重要であることが指摘されている.そこで,日本の森林および草地で得られた土壌食物網データを用いて窒素循環における土壌動物群集の寄与率を整理する.