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一般講演(口頭発表) I2-08
生物多様性保全のための野生動物のモニタリングとしては、現地調査や、航空機からの目視観測による個体数調査や、GPS装置を用いた行動域の把握等が行われている。この中で、「動物リモートセンシング」では、植生図や地形図から得たデータを説明変数、現地調査による生息数データを目的変数とした統計解析より、生息適地図を作成するもの、足跡などの痕跡を用いて間接的に個体数や活動範囲等を把握するもの、そしてリモートセンシング画像から直接対象生物を検出するもの等がある。生息的地図を作成するものについては、日本でも研究例があるものの、痕跡を用いたものはほとんどなく、直接検出については、地上サーモセンサーを用いたものがあるものの、実用化には至っていない。
これまでリモートセンシングを用いた野生生物のモニタリングのニーズはあったが、観測機器の制約などにより現実には困難であった。しかし、近年の航空機用観測機器の高空間分解能化に伴い、そのようなモニタリングの実現可能性が高まってきている。
雪の上の足跡からは、その形と大きさから種を判別したり、そのつき方から、歩行速度を推定したりすることができる。また、足跡からの対象種の個体数推定法について多くの研究がなされている。その中には、航空写真から目視で足跡を確認し、個体数を計測するものもある。しかしながら、広大な撮影範囲から、小さな足跡を見つけ出すのには多大な工数を必要とする。
そこで一つの試みとして、航空機デジタル画像に写った雪の上の足跡の自動抽出を行った。抽出した足跡からは、対象種の数や生態に関する様々な情報が得られることが期待される。さらに、抽出した足跡にINTGEP法を適用することで、撮影範囲内の対象種の個体数推定を行った。