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一般講演(ポスター発表) P1-002
北海道大学苫小牧研究林の針広混交林の森林構造の変化と動態を1996年から2007年までの10年間の成長期間に渡って調査した.調査地は順にエゾマツとオオモミジ,ミズナラ,ホオノキが優占する針広混交林である.針葉樹であるエゾマツは,全胸高断面積の18%を占めていた.エゾマツとオオモミジは一山型,ミズナラとホオノキはL字型のサイズ分布を示していた.1996 年から2004年までは,大型台風の到来がない期間であった.その間は優占木の枯死や幹折れ等の小から中規模の撹乱による林冠ギャップ更新が生じてはいたが,森林構造や種組成に大きな変化は観られなかった.しかし,2004年9月に北海道を襲った台風16号によって,大規模な風害が生じ,森林構造や種組成が劇的に変化した.全胸高断面積の約30%が主に強風による根返りの被害を受けた.なかでも針葉樹のエゾマツは,強風による根返りで林冠木の約半分が風倒し,全胸高断面積の10%にまで優占度を下げた.しかし,ミズナラやホオノキは幹折れや根返りによって若干優占度を下げたものの,旺盛な萌芽再生などによって台風による被害を最小なものにしていた.その結果,撹乱の規模とその応答力によって,この森林の構造と種組成に大きな変化が生じていくことが示唆された.