| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-014

多雪環境下における樹木の力学的特性2

*目黒伸一, 鈴木伸一, 林寿則(国際生態学センター)

前回の発表に引き続き多雪環境下に生育する樹木の力学的特性について調査研究を行った。多雪地に生育する植物は継続的に生育・生存するため耐寒適応のほかに、雪の重量による力学的負荷に対する適応が必要であると考えられる。したがって、本研究では多雪地における樹木の力学的特性を中心とした物性値について調べることを目的とした。

調査地は群馬県川場村とした。調査当地は緩斜面上のマルバマンサクーブナ群集に相当する森林とした。生育する樹木の幹や枝の物理的特性を調べるため、樹木を切り出し、力学的試験を行った。試験に供された樹種はブナ、ミズナラ、シナノキ、ハウチワカエデ、コハウチワカエデ、トチノキ、ホオノキ、ウリハダカエデ、オヒョウ、オオツリバナ、コマユミ、アサノハカエデである。

実験の結果、多くの樹種において枝および幹の破壊強さ、比重および含水率は樹木の部位にかかわらず同一樹木内で一定の値を示したが、数種は枝サイズ依存性を示した。これらの樹種の力学的配分・傾斜が生育における戦略と結びついていることが示唆された。また、比較として箱根に生育するブナおよびミズナラの力学試験を行った。その結果、雪圧に対する樹木の物性の変化が種特性に影響を与えることが明らかになった。

日本生態学会