| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-025

千葉県印旛郡本埜村に存在する半自然草地における絶滅危惧植物の分布と結実状況

*大橋賢(明治大・院・農),倉本宣(明治大・農)

人間の生活と関わり合ってつくられ,維持されてきた雑木林や草地のような二次的な自然にはさまざまな生物が生息・生育している。そのような二次的な自然は我が国の生物多様性の維持に貢献しているといえる。毎年1,2回の管理によって維持されてきた半自然草地には多様な生物がいて、なかには草地という場所を主なハビタットとしている動植物も存在する(以下、草地生動物、草地生植物と呼ぶこととする)。現在、採草地や放牧地として半自然草地を利用する必要性が失われてきたため、半自然草地が減少してきている。特に都市域では住宅地や工場地等に土地が改変されてきたために、著しく減少している。それに伴い、草地生の動植物が減少し、全国及び地方のレッドデータブックに多くの種が記載されるようになった。

千葉県印旛郡本埜村には多くの草地生植物が生育している草地が残存している。その草地には数種の絶滅危惧植物が生育している。都市域にこのような草地が残っていることは珍しく、保全すべき対象であると思われる。しかし、この地域はニュータウン化建設の計画があり、多くの草地が開発されてきている。このような絶滅危惧植物が生育している半自然草地を保全していくためには、詳細な植生調査の情報とともに、絶滅危惧植物の特性を把握した上で保全策を考え、提示する必要がある。

そこで本発表では、絶滅危惧植物の分布の特徴と開花結実状況について調査した。分布に関しては、スズサイコCynanchum paniculatum、フナバラソウ Cynanchum atratumについて、開花結実状況に関しては、スズサイコについて報告する。

日本生態学会