| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-030

山口県周東・大島地区における異なる常緑広葉樹林と二次林の植生学的研究

村中希望,藤原一繪(横浜国立大学・院・環境情報)

中国地方は古くから植林・薪炭材利用などが行われアカマツ林やスギ・ヒノキ林といった二次林構成種が大部分を占めてきた。兵庫県南部から山口県南部における瀬戸内海側では、ここ数十年の間にマツ枯れの被害や都市化、管理放棄などにより植生が大きく変わってきている。

そのため、1980年代後半に作成された現存植生図とは大きく異なってきており、高間(1996)、中越(2000)、波田(1994)らによって広島、岡山の植生の現状把握についての研究が行われてきた。しかし、それらは中国地方南部および南東部における研究がほとんどである。そこで、本研究では山口県南東部の周東・大島地区の二次林を含む常緑広葉樹林の現状把握、並びに分布とその立地との相違を明らかにすることを目的とし調査を行った。本報では、常緑広葉樹林を中心に報告する。

調査地となる山口県周東・大島地区は九州から共通するイチイガシ林、スダジイ林、コジイ林が分布している。また、瀬戸内式気候の西端に位置し、関門海峡を通って流れてくる対馬海流の影響を受ける。周東・大島地区はヤブツバキクラス域に位置し、平均降水量約1775mm、年平均気温約15.5℃のである。計49ヶ所を一辺10〜20mのプロットを設置し、植物社会学的調査法(Braun-Blanquet 1964)に基づいて行った。その結果、自然林はミミズバイ-スダジイ群集、シイモチ-シリブカガシ群集、ホソバカナワラビ-スダジイ群集、トベラ-ウバメガシ群落に、二次林はネザサ-アラカシ群落、ナナメノキ-アラカシ群集、コバノミツバツツジ-アカマツ群集、コナラ二次林に分けられた。

環境要因に関しては、各調査地の降水量や気温、表層地質のデータを多変量解析を用いて解析した。

日本生態学会