| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-031

高分解能衛星データを用いた森林優占型判別と植生図化−千葉県の里山地域を例として−

*長谷川奈美(農工大院・農),星野義延(農工大),原慶太郎(東京情報大),鎌形哲稔(東京情報大院)

リモートセンシングを利用した植生図作成の実用化を目指し,高分解能衛星データと現地調査データより森林優占型の判別条件を抽出した.その判別条件をオブジェクトベース画像解析法(OBIA)に適用して図化し,汎用性と精度について検討した.

調査地は千葉県佐倉市印旛沼南の4km2とした.高分解能衛星データはIKONOSマルチスペクトル画像(2001.4.23撮影,分解能4m,波長域B1:近赤外,B2:赤,B3:緑,B4:青)を使用した. 

16m×16m(16ピクセル分)の調査区115箇所で植生調査を行い,優占種判定法を用いて8優占型に分類した.植生指数(NDVI),B2の平均値,B1,B2,B3の標準偏差を説明変数とし,ツリーモデルを用いて各優占型の判別条件を求めた.また,航空写真判読と現地踏査により,優占型を凡例とした対照植生図を作成した.

7優占型で良好なモデルが構築され判別条件が抽出された.スタンドデータによる敏感度と正答率は,いずれも40〜100%であり,全体で70%程度の精度があった.平均面積16ピクセル程度になるように,IKONOSデータにOBIAの領域分割処理を行い,判別条件により各優占型を抽出した図を作成した.対照植生図と一致した面積による各優占型の敏感度と正答率はいずれもスギ型とコナラ型で34〜91%,シラカシ型とモウソウチク型で19〜42%,マツ型,スダジイ型,マダケ型でいずれかが10%未満となり,優占型によって違いがあった.各優占型の抽出図は重複する所が多かったため,重複部分の優占型を決定する優先順位を試行錯誤した.最も精度が良かったものは,精度10%以上の優占型のうち判別された面積の小さいものを優先して決定した場合で,全体では敏感度39%,正答率36%が得られた.

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