| 要旨トップ | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-037

淡路島における人為的撹乱タイプの違いが海浜植生の組成およびゾーネーションに及ぼす影響

*三浦弘之(淡路景観園芸学校), 澤田佳宏, 藤原道郎, 大藪崇司, 山本聡(兵庫県大・自然研/淡路景観園芸学校)

海浜では,海水浴や車両の乗入れなど様々な人為的攪乱が行われている.人為的攪乱タイプの違いによって,海浜植生の組成・ゾーネーションにどのような影響が及ぼされるかを解明することを目的とし,淡路島西南部の慶野松原海浜で調査を行った.この海浜には,兵庫県版レッドデータブックでAランクに指定された海浜植生があるが,海水浴客などの人間による踏みつけ,海浜清掃などの管理用車両による踏みつけ,ビーチバレーコート整地などによる地形改変,海の家などの一時的な構造物の存在の4タイプの人為的攪乱がある.各タイプの人為的攪乱を含むように,海浜を汀線に沿って29ブロックに分割し,ベルトトランセクト法(幅1 m)による植生調査(計30本,739方形区)と立地環境調査(地形測量,土壌硬度の測定)を行った.ベルト上で計54種の植物が確認された.このうち出現頻度0.5%未満の11種を除き, TWINSPANで8群落型に分類した.群落型A・Bはハマゴウやコウボウムギ,C・Dはコウボウムギ,Eはシバ,Fはコウボウシバ,Gはギョウギシバ,Hはチガヤによって特徴づけられた.各群落型のベルト上での配分を調べたところ,人為的攪乱の少なかったブロックでは,海側から陸側に向かって,群落型C・D→A・Bの順に典型的な海浜植生のゾーネーションが形成されていた.管理用車両の走行頻度が多いブロックでは,ゾーネーションが見られず,全域で群落型C・Dが成立していた.人の踏みつけの多いブロックでは,組成・ゾーネーションとも大きく影響を受け,群落型E・Gが全域に広がっていた.整地されたブロックでは,ビーチバレーコート部分は裸地で,その周辺に群落型C・D・Eが分布し,海浜植生の典型的なゾーネーションは発達していなかった.

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