| 要旨トップ | | 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) P1-058
平野部の林では分断・孤立化が起こっているといわれており,エッジ効果による環境の悪化などが報告されている。雑木林等の林床でよく見られるミヤマナルコユリPolygonatum lasianthumは,植物社会学的調査によって小面積の林に出現しなくなる傾向がある種として報告されている。しかしながら本種を対象とした研究はほとんどなされておらず,分断・孤立林においてなぜ生育しにくいのかについては明らかとなっていない。そこで本研究では,本種の生育地特性を明らかにし,分断・孤立林における本種の生育について考察することを目的とした。
図師小野路歴史環境保全地域(東京都町田市)内の林床に2m×2mのコドラート(A区〜E区)を設置し,本種の生育状況を調査した。傾斜,斜面方位をクリノメーターで測定し,データロガーによって気温、地温、土壌水分を測定した。また,光量子束密度と全天写真をそれぞれ2週間に1回,1ヶ月に1回測定して光環境を評価した。
やや傾斜があり,1年を通して光量子密度の高かったA区において最も多くの個体が確認された。A区においては,サイズクラスの低い個体から高い個体まで生育していた。そのほかの区はA区に比べて偏ったサイズクラス構成を示した。そのうち,林内の歩道によって分断されている林にC区〜E区は位置していた。
データロガーのデータとあわせて生育地特性について考察する予定である。